出逢い 〜第二章〜電車に乗って
04
”後で聞くと、妻はうっすらと私が硬く怒張させていたのに気付いていたようだが、
「あんなに硬いとは思ってなかったからあれが勃起なのかよくわからなかった」 そうだ。 それよりも妻にとっては、よろめいた自分を支え抱きしめてくれた私の真剣な表情に嘘は無いと感じてくれて、 「守る」 と言った私の言葉を信じる方がずっと大きかったと教えてくれた。 「Jeyだったら、全てをお膳立てしてもらえる、敷かれたレールの上を走るような人生を変えてくれるかもしれない」 素直に話していたかと思うと、悪ぶって見せたりする。 無邪気に笑ったかと思うと、大人びた表情で大胆にエッチなことをする。 捉えどころの無い少年の頃の私の、その時見せた真剣な表情に惹かれていく自分を抑えることが出来なかったのだそうだ。 その時、妻も私の腰に手を回し自らの腰を私の若茎に押しつけていた。 それが、 「とても大胆なことだと分かっていたけど、でも頭では理解できない何か」 に妻は突き動かされたと言う。 「好奇心?それとも愛?」 自問自答したそうだが、でもそれは妻いわく 「本能」 と言う以外無く、 「気持ちよりも身体が先走る感じ」 だったそうだ。 その時の私たちはゆっくりと電車の揺れに合わせ無意識にグラインドをしていた。 私の硬さに妻は 「下腹の皮に引っ張られるみたいに」 秘裂を刺激したのだそうだ。 その時は 『気付かれないようにしなきゃいけない』 と、思ったが、そう思うほどに妻は背徳の気持ちで昂ぶる欲情を耐えることが出来なくなっていて、初めて体験する 「身体の内から溢れ出てくる熱い疼き」 に堪えることが出来ず、妻は初めて私の前でかみ殺した甘い吐息を漏らしてくれた。 お嬢様育ちとはいえ品行方正なわけでは無かった妻は、女の友人たちとそれなりに楽しい青春を過していたが、異性に関しては奥手で同年代の男とはほとんど話すらしたことが無かったそうだ。 端整で可愛らしい顔立ちの妻は、当然密かに思いを寄せられている噂は山ほどあったそうだが、娘を溺愛する父親の影響もあってか、なんとなく恋愛については興味を示すことはなかったらしい。 性についても同じで、同級生の話に少し付いていけないところもあったみたいだ。 好奇心から一度だけオナニーをしてみたこともあったが結局オーガズムに達する事無く止めてしまったほど性には奥手だったのだそうだ。” そんな麗子が人生初の絶頂を迎えようとしている。 快感のおもむくままに腰を動かし続け、公衆の面前で唇を噛み締める。 「おかしいの・・・んぁはぁん・・・熱くて・・・くっ・・だめっ・・んっ・・」 小声で私の耳元で囁くと、掴んでいた私の腕に爪を立て膝がカクカクと震えだす。 私はそんな麗子がとても愛(いと)おしくなり、抱きしめる腕に力を込めた。 「ひぃっ・・んっ・・・・」 押し殺した声で小さく喘ぎを漏らした麗子は初めて私の腕の中で頂点に達してくれていたのだが、私はその時はそれを気付かずにいた。 私も押し付けた陰茎から前よりも多い量の白濁をパンツに中に発射してしまったので、それどころではなかったのだ。 我慢を知らない若い二人は互いに気付かずに同じタイミングで終わりを迎えてしまったのだ。 麗子はまだ、朦朧としているようだ。 少しずつ 「頭の中の霧は晴れてくる」 のだが恥ずかしくて私の顔をまともに見ることが出来なかったそうだ。 「どうしよう・・・電車の中で・・・」 呟くと、チラッと私を見る。 私も 『出ちゃったの麗子さんにバレちゃったかな』 と、こちらも麗子をチラッと見る。 目が合った二人、私は微笑むが麗子ははにかんで下を向いてしまう。 ただ、お気楽な私の微笑みに、麗子は少し安堵した表情を見せる。 うつむいてる麗子は法悦の中でも、前に持ってきている髪束は離さずに握り締めている。 私はそれを見て、麗子が絶頂に達したのも知らずに 『髪を大事にしてるんだ』 と、思うと、そのまま髪束を持つ左手の甲を包み込むようにしっかりと握り締めた。 電車はもうすぐ終点の東京随一のターミナル駅に到着することをアナウンスしている。 麗子は握り締めている私の手からそっと自分の手を引き抜き、反対にそのまま私の手を上から握り締め自分の髪を握らせる。 あまりに突然の行動に、私の思考回路はパニックを起こしている。 自分の髪好きがバレてしまったのかと焦ってしまったのだ。 が、同時に髪の柔らかい感触は放出の影響も無く突っ張ったままの私の下半身に更なる血流を送り込む。 そのままスピードが緩んでいく電車の中で正面に立つ麗子に手を握られ綺麗な髪を握り締める。 麗子は何かを確認するように潤んだ瞳で私を見つめている。 「さぁ降りましょう・・」 電車がホームに到着するとまるで何事も無かったかのように握っていた手を離し落ち着いた口調で囁く。 麗子に手を離されて少し間を置いて、私は握っていた髪の束から名残惜しげに手を離した。 |