出逢い  〜第一章〜駅の美少女


02

そこへ、各駅停車が来た、私が乗り込むと後を追ってくるように麗子も同じ乗車口から電車に乗り込み背中を向ける私のすぐ後ろに立っている。
『うわぁあの綺麗なお姉さんがすぐそばにいるよぉ』
私の胸の鼓動は高鳴る。
『しかもなんかすごくいい匂いだし』
開けてある窓から入ってくる初夏の爽やかな風に乗って麗子の髪の甘い香りが鼻をくすぐる。
その甘い香りに私はなんだか変な気持ちになってくる。
私は小5の時に既にマスターベーションを始めている。
アイドルグラビアを見ながら布団で摩擦すると気持ちよくなるのを発見したのだが、小学校を卒業するまで、自然に覚えたその行為がマスターベーションだと知らなかった。
中学に入り同級生の悪友から勃起や自慰と言う言葉や手でこするやり方を教わった。
麗子の髪の香りは小5の時の初めてのそれと同じような感覚が何十倍にもなって下半身に集中していく感じだ。
『ヤバい勃起しちゃってる』
そうは思っても若いエネルギーは止めることは出来ない。
何とかバレないようにしなくてはと、前かがみになりごまかそうとしている。
電車は次の駅に止まった、乗ってくる客が多く徐々に身動きが取れなくなってくるところに麗子がすっと私の前に移動してきた。
麗子は斜め後ろを向いて体が触れそうなくらいの距離に立っている。
後ろに下ろしていた髪は電車に乗る際に右の肩から前へ持っていきその髪束を左手で握り、しっかりと守るように押さえている。
丁度私の目の前にその美しいツヤツヤに輝く髪の流れがある。
『やっぱりすごく綺麗な髪だなぁ』
何故だか分からないが子供の頃から髪の毛、特に長い髪が好きだった私は、その髪の美しさにただ見とれている。
それは、麗しく神々しい光沢を放ち、世界中で一番美しいもののようにすら思えて私は目を離すことができないでいる。
無鉄砲な若さは、それほどまでに綺麗なものを見て我慢ができるわけは無く、下半身に集中した血流は髪の毛を見てますます充満していく。
次の駅に停車すると、人が乗ってきて、麗子はさらに身体を近づけチラッと視線を投げかける。
勃起がバレたかと焦ったが、目と目が合うとなんとはにかみながら、にっこりと微笑むではないか。
私もにこりと笑い返すが、その顔は思い切り引き攣っていた笑顔だ。
すると、電車の揺れで麗子はバランスを崩し身体と身体が触れ合う。
目の前の髪から香ってくる甘い香り、触れ合う身体、私はもう我慢が出来ない
『あぁ・・もうだめだ・・』
身動きできない勃起した若い茎は麗子の右の腰骨に押し付けられる。
その瞬間、強い刺激が隆起した下半身に襲い掛かり、ビクッビクッと痙攣をしてパンツに中に青臭い粘液を放出してしまった。
『気付かれたら痴漢で逮捕だなぁっ』
と思い、焦って麗子の様子を見るが、硬い腰骨だったのが幸いしたのか気付いた様子は無い。
それどころかさらに身体をずらしてきて遂に私と向き合う位置になった。
私の方が少し背が低い、真正面に向き合うと少し微笑み、恥ずかしそうにうつむいた。
『なんて可愛いんだろう』
年上なのは判っているが可愛いという表現が一番合ってると私は思った。
駅に入りスピードが落ちていくと麗子はドアの方をチラチラと見てもう一度私を見つめる。
その様子から麗子が降りる駅が近づいてきたことを感じた私にとって、夢のような時間ももう終わってしまう。
『ここで降りちゃったら二度とこの人には逢えない』
私はそう思うと大胆にも麗子の手を握った。
大事そうに髪を握っていた左手を甲から包み込むように握り締めた。
今、思い返しても何であんな大それた行動がとれたかわからない。
ただ、二度と逢えないかもしれない焦りと共に、電車のドアを見た後に私を見つめていた表情が消え入りそうに儚く見えて
『守りたい』
思いがよぎり、手を取ってしまったのを覚えている。
麗子も一瞬驚いたが小さくうなずくと私の手を取り電車を降りたのだった。

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